フローラルな香り、そして良質な酸。
「良質な酸」とは「果実」、レモンやオレンジのような柑橘を思わせる、
爽やかで明るい酸味をきちんと感じられること。
コーヒーは果実(チェリー)からつくられる飲み物。
だからこそ、一杯のコーヒーから果実らしさを感じ取れることは、
そのコーヒーの品質を語るうえでとてもポジティブな要素となります。
これまで数年にわたり扱ってきたペルーのコーヒーのなかでも、
この農園には、これまでとは一線を画す輪郭というものがあります。
年ごとに選別の質や精度にばらつきが見られることもありますが、
それもまた、生産地としての“成長の余白”を感じさせてくれます。
むしろ、その不安定さのなかに、磨かれていない原石のような魅力がある。
ペルー産のコーヒーには、まだ私たちの知らない味わいが、無数に眠っている気がしてなりません。
そのポテンシャルは、いまだ計り知れず。そしてそれは、これから見つけていく価値でもあります。
手掛けたのは、若くして栽培に情熱を注ぐウィルダー氏。
彼のような生産者こそ、これからのペルーのコーヒーシーンを
静かに、けれど確かに牽引していくことでしょう。
―フェスパ農園―
農園名:フェスパ
生産者:ウィルダー・ガルシア
所在:カハマルカ県ハエン郡ウワバル地区ウアコ
標高:1,700-2,000m
生産量:200袋程度
栽培品種:カトゥーラ、ブルボン、ティピカ etc.
精製:ウォッシュト
1960年に創業したフェスパ農園は、現在3代目のWilder氏が中心となり運営。若くして農園指導員として経験を積み、自農園で得た知見を実践し品質と生産性を向上。その成果を他生産者に共有する「モデル農園」としても機能しています。現在は自農園に専念しつつ、有望な生産者の育成・支援にも取り組み、ペルーのスペシャルティコーヒーの未来を拓こうとしています。
まだ見ぬ豊かさに、一歩、触れるような感覚を。
この一杯が、そんな“はじまり”となれば嬉しいです。
同じ南米の産地として知られるブラジルやコロンビアに肩を並べるような、
高品質なコーヒーが、いまペルーから届いています。
特に近年、コロンビアにおいては安定した高品質ロットに出会う機会が少しずつ減ってきている中で、
私たちはペルーのコーヒーに、より大きな期待と可能性を感じています。
ペルーの山々では、きっと多様で魅力的なフレーバーを持つコーヒーが着実に育まれている。
その存在感は、これからますます増していくことでしょう。
可能性を秘めた一杯をお楽しみください。
山田