「コーヒーやお茶を飲む」と聞くと、それは単に飲む動作のよう。
日本には「喫茶」や「喫する」という言葉があります。
飲酒などとはいうけれど「飲茶-いんちゃ-」とは言わない。
同じ漢字で「飲茶-やむちゃ-」という言葉もありますが、
これは中華圏の点心文化の中で、お茶と共に食事を楽しむスタイルのこと。
喫茶には、「一杯の中に込められた時間を味わう」という静かな楽しみ方がある。
「喫」という字には、ただ口に入れ飲むではなく、味わい、楽しみ、心を添えるという意味合いが込められている。
この字を分解すると、「口」と「契」
「契」にはもともと、「約束」「つながり」「心を通わせる」といった意味がある。
「喫する」とは、その一杯と“契りを交わすように”、深くつながることでもあるということ。
口に含んだ瞬間から、香りや温度、味わいが感覚を通して自分の内側に届いてくる。
それを丁寧に受け取り、自分の中でゆっくりと反応させる。そんな行為。
そんな話をすごいお方から聞かせてもらいました。すごい先輩。
「喫茶というのはすごい言葉なんだよ。」
言葉の一つひとつに品があり、それでいて軽やかで、
すがすがしい空気をまとうような人でした。
その人の話しぶりもまた、「喫する」ように味わいたくなるものでした。
皆様も思う存分に楽しく自由に精一杯、喫してください。
私も喫します。
山田